KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

CTOがEngineering Managerに期待する7つのこと

こんにちは、カケハシのCTOのゆのん(id:yunon_phys)です。カケハシではEngineering Manager(EM)に期待することを、特にリーダーシップとチームマネジメントの側面にフォーカスして言語化し、行動や言動に対して組織全体として一貫性のあるようにしています。本記事では、その期待することを社外公開用にリライトしたものです。

組織によって文化や価値観は異なりますが、EMに求められる役割について一つの視点として参考にしていただければ幸いです。

1. 正しい方法で短期的な事業成果を追求する

「正しい」という言葉の定義はコンテキストによって変わりますが、ここでは誰かが理不尽な思いをすることがない、フェアである、カケハシのバリューの1つである高潔さを保つといった意味を想定しています。組織における公的な存在として、EMは信念を持って行動する必要があります。

事業成果を最初に挙げているのは、カケハシではこれがEMの最も重要な責務だからです。技術的な改善や組織づくりなど他の活動も大切ですが、それらはすべて事業成果を出すための手段です。中長期的な投資も必要ですが、少なくとも半年以内には何らかの進捗や小さな成果を示せるはずです。

短期的な成果を意識的に追求することで、継続的な投資への信頼を構築します。「数年後に最大の効果が出る」というプレゼンより、「毎月着実に進捗している」と示す方が、投資判断をする立場の安心感は大きく異なります。マネジメントは長期戦だからこそ、短期的な成果を積み重ねていく姿勢を持ち続けます。

2. チームの活動に明確な意思決定を行う

サーヴァントリーダーシップは重要ですが、メンバーの希望に沿うことだけがサーヴァントリーダーシップではありません。メンバーの長期的な成長や事業成果のために、時には厳しい意思決定を明確に行うこともサーヴァントリーダーの役割です。

EMは経営とチームメンバーの橋渡し役として、双方の視点を理解する立場にあります。事業成果を出すために、時にはメンバーの希望とは異なる方向を選択しなければならない場面もあるでしょう。そうした状況でも、各ステークホルダーと議論を重ねてその時点でBestな意思決定を行うことがEMの役割です。

3. チームの活動を説明できる状態を保つ

開発チームが何をしているのか、いつでも説明できる状態を保つことは重要です。経営的な視点では、会社のリソース(お金・時間)を人的資本に投資し、それによって新たな資産(システム・ソフトウェア)を生み出す活動をしています。この投資がどのように価値を生んでいるかを誰にでも説明できることがEMに求められます。

開発活動の詳細すべてを把握するのは難しいですが、主要な取り組みについてEMは説明責任を持つ必要があります。これは透明性を保ち、組織全体との信頼関係を構築することにつながります。

4. Disagree and Commitの姿勢で臨む

会社の方針に疑問や懸念がある場合は、決定前に徹底的に質問や議論をすることが大切です。しかし、一度決定された事項については、たとえ自分の意見と異なっていても、EMはその決定にコミットする姿勢が必要です。決定前に十分な議論の機会があったにもかかわらず意見を述べなかった場合、後から異論を唱えるのではなく、決定に従って行動することが求められます。

また、決定事項をチームに伝える際は、「上からの指示」としてではなく、自分の言葉で語ることが重要です。EMは意思決定プロセスに関わった一員として、主体的に伝える必要があります。

5. 属人化を避け、仕組みで解決する

特定の個人に依存した解決策は、短期的には有効でも長期的にはリスクがあります。その人が休暇や病気、異動や退職で不在になった際に業務が停滞するだけでなく、本人のキャリアの選択肢を狭めることにもつながります。

可能な限り、誰でも対応できる仕組みを作ることを目指します。これは、その仕事を標準化することで、優秀な人材がより創造的で価値の高い仕事にチャレンジできる機会を生むことにもつながります。チーム全体で知識を共有し、誰もが成長できる環境の構築が、持続可能な組織運営につながります。

カケハシ社内では「カッとなって自動化する」という標語を掲げ、例え少ない回数しかそのときにはやらないと思っていても手動オペレーションを自動化することを是としています。これも属人化を避けるための1つの手段と言えます。

6. 個人の強みを引き出して活かす

人にはそれぞれ得意なことと苦手なことがあります。可能な限り、メンバーが自分の強みを発揮できる環境を整えることで、チーム全体のパフォーマンスを最大化できます。

常にすべてのメンバーが理想的な状態で働けるとは限りませんが、それぞれの強みが活きるようマネジメントすることは、EMの重要な役割の一つです。

7. パフォーマンスについて明確なフィードバックを行う

チームメンバーのパフォーマンスについて、ポジティブな面もネガティブな面も、明確にフィードバックすることが大切です。良い成果には正当な評価を、改善が必要な点には率直なフィードバックを提供することで、メンバーの成長を支援します。

パフォーマンスに課題がある場合は、早めに向き合うことが本人のためにもチームのためにもなります。改善に向けた具体的な道筋を示し、サポートすることがEMの役割です。ただし、成長は最終的には本人の意欲と行動にかかっています。

また、パフォーマンスが出ていない原因が、業務内容と本人の適性のミスマッチにある可能性も考慮する必要があります。時には、チーム内での役割変更や、より適した環境への異動が、本人とチーム双方にとって最善の選択となることもあります。こうした判断を適切に行うことも、EMの重要なスキルです。

おわりに

以上、エンジニアリングマネージャーに期待することをまとめました。

これらの期待事項は理想であり、実際には全てを同時に満たす行動を取ることがどうしても難しい場面もあります。例えば、短期的な事業成果を追求しながら、同時にメンバーの強みを最大限に活かし、属人化を避けるといった複数の要求を完璧にバランスさせるのは容易ではありません。

そうした時こそ、一人で考え込むのではなく、チームメンバー、横のEM、CTO/VPoE/Head、斜めの関係、社外のコミュニティメンバーなどに相談することが大切です。EMとして大切なのは、こうした制約や葛藤を前提としながらも、現時点での最適解を模索し続ける姿勢と行動です。

こうした期待を共有し、一緒に目指していくことで、より良いチームづくりができるはずです。皆さまの組織でも、独自の期待値や価値観があるでしょう。この記事が、そうした議論のきっかけになれば幸いです。