生成AI研究開発チームのainoyaです。
カケハシでは、今年5月に、社内で「生成AI活用研究会」を発足し、業務における生成AI活用を推進してきました。
薬局DXをリードするカケハシは社内で生成AIをどのように活用しているのか? - KAKEHASHI Tech Blog
今回は、社内でのAI活用の具体的なアウトプットとしてのこれまでのブログ記事を紹介しながら、カケハシのAI活用の「現在地」をお伝えしたいと思います。
生成AI活用研究会の発足と目的
2025年の5月頃に発足したこの研究会は、単なる技術調査にとどまらず、「開発現場でいかに実践的にAIを活用し、ユーザーへの価値提供を加速させるか」を目的としています。
発足以来、さまざまなチームで活発な取り組みが行われ、リファクターや技術負債解消において、従来であれば1週間を要していたタスクをわずか数時間で完了させるなど、多くの活用事例が生まれてきました。
現在地:カケハシで活用している生成AIツール
現在、カケハシの開発現場では、以下のような生成AIツールを活用しています。
- GitHub Copilot: コーディング支援として日々の開発に活用
- Dify: AIアプリケーション開発基盤として、業務効率化ツールの構築に活用
- Cursor: AI統合型エディターとして、高速なコード生成・リファクタリングに活用
- Devin: AIエージェントとして、外部仕様書の確認やワークフローの自動化に活用
- Gemini: Googleの生成AIとして、多様な業務支援に活用
- NotebookLM: 情報整理やリサーチ業務の効率化に活用
- Claude Code: 広範なコーディング業務に活用。これから開発現場で正式利用予定
これらのツールを、それぞれの特性や強みに応じて使い分けることで、開発の各フェーズにおいて最適なAI活用を実現しています。
医療システム開発だからこその挑戦
私たちが開発しているのは、医療という、きわめて高い精度と信頼性が求められるシステムです。 そのため、生成AIの活用においても、出力される品質やシステムの安定性に対して、厳しい基準を設けています。
これからご紹介する事例は、単なる「AIを使ってみた」という話ではなく、「医療の現場で責任を持って活用するために、どう品質や信頼性を担保しているか」という視点も含まれています。
生成AI活用のブログ記事まとめ
生成AI活用の成果として、有志が技術ブログでたくさんの記事を発信してくれています。ここでは、これまでに公開された記事の一部をカテゴリ別にまとめてみました。
【開発プロセスと生産性の向上】
不確実な新規事業開発に立ち向かう。生成AIによる高速プロトタイピングと「設計タイムライン」活用術
生成AIの強みは、多数のアイデアを低コストかつ瞬時に、並行してアウトプットできる点にあります。これにより、具体的な「動くもの」を見てから設計に立ち返り、高精度に修正するという、質の高いイテレーションが可能になりました。
【4つの具体例】薬局向けプロダクトで実践!ユーザー理解を爆速化する生成AI活用術
プロダクト開発で重要なユーザー理解を、生成AIを用いて高速化するための具体的な4つの手法を紹介しています。
障害対応での生成AIの活用事例:社内向け障害報告書作成の自動化
障害発生時、生成AIを活用して社内向けの障害報告書作成を自動化した事例です。
生成AIで内部ツール開発のジレンマを解決する
時間をかけられないが重要、というジレンマを抱えがちな内部ツールの開発を、生成AIで効率化した事例を紹介しています。
「AIと一緒にやる」が当たり前になるまでの奮闘記
このスライドでは、組織が生成AIを取り入れる際の「壁」と「改善の連続」を可視化しています。
- AIツール活用状況を社内(Findy Team+/Devin)で可視化して振り返りを回す
- 各チームから阻害要因を拾ってチケット化、改善を反復
- 環境整備(設定の統一、フォーマッタ設定、依存バージョン管理など)の重要性
- PR数・マージ時間などを指標化して、AI活用が負荷になっていないかを定点で観察
といった実践的な運用の工夫が語られています。
【プロダクト開発と品質・信頼性向上への取り組み】
薬局業務支援AI開発を加速!Databricks×Dify×Colaboratoryで実現する、ドメインエキスパートとデータサイエンティストの協働基盤
まさに医療用システムの品質担保に向けた取り組みです。Databricksなどを組み合わせることで、出力品質の信頼性向上に注力しています。
"SaaS is Dead" is Chance? 医療AIエージェントの可能性
SaaSの次のモデルとして、医療分野におけるAIエージェントの可能性について考察しています。
検証コストがゼロに近づくと、アイデアの価値はどう変わるか?
生成AIによって検証コストが劇的に下がることで、これまで試せなかったようなアイデアの価値がどう変わるかを論じています。
外部仕様書の確認を Slack ワークフローに組み込むことで、 Devin くんにサポートしてもらってみた
SlackのワークフローとAIエージェント「Devin」を連携させ、外部仕様書の確認プロセスを自動化した事例です。
医療系のプロダクト開発における生産性向上と高信頼性を両立させる生成AI活用
このスライドは、プロダクト開発×生成AIの現場のノウハウをLT形式でまとめています。
主なテーマは:
- コンポーネント指向で「すべては部品になりうる」設計
- フィードバックサイクルを高速化する手法
- ガードレール(安全策)設計と信頼性確保を並行して回す運用パターン
など、品質と速度の両立をめざす考え方が丁寧に整理されています。
ユーザー課題を愛し抜く――AI時代のPdM価値
こちらは、AI時代におけるプロダクトマネージャー(PdM)の役割・価値を、「ユーザー課題を深く理解し続ける」視点から再定義するスライドです。
内容の一部例:
- PdMは技術だけではなく、問題探索と仮説検証の中心
- AI導入で効率化できる領域と、むしろ「人の判断」が価値を発揮する領域の境界
- 将来性を見据えた技術選択と、ユーザーインサイトの探索バランス
などが語られています。
【組織とガバナンス】
開発スピードと社会的信頼を両取りする――生成AI時代の『ガバナンス×SRE』戦略
医療データを扱う上で、生成AI時代の新たなリスクに対応するため、「ガバナンス×SRE」という新しい責務に取り組んだ内容です。
薬局DX業界 SREチームにおける生成 AI 活用事例
SRE (Site Reliability Engineering) チームが、日々の業務の中でどのように生成AIを活用しているかを紹介しています。
生成AIプロダクトチームを新たに組成する際に抑えたい3つのポイント
これから生成AIを活用したプロダクト開発チームを立ち上げる際に、重要となる3つのポイントを解説しています。
みんなの熱量を熱狂に!VPoTになりました
生成AI活用をはじめ、全社の技術的な取り組みを推進するVPoTの視点から、カケハシの組織づくりについて語られています。
AIでめっちゃ便利になったけど、結局みんなで学ぶよねっていう話
このスライドは、生成AIが導入されたあとの「学習文化・共同成長」の視点に焦点を当てています。
主なポイント:
- エンジニア同士・チーム横断でのナレッジ共有と実験文化
- AI利用における成功体験・失敗体験をオープンにすることで学びを加速
- 個人 → チーム → 組織に知識を伝播させて、技術浸透を持続的に回す仕組み
私たちが目指すこと
これらの活動からわかるように、カケハシの開発現場では、生成AIは特別なものではなく、「当たり前に活用するもの」として浸透しつつあります。
私たちは、これからもテクノロジーを駆使して、患者さんや医療現場にとって品質が高く、より信頼できるサービスを最速で届けていきたいと考えています。この記事を通して、カケハシのカルチャーや技術的な挑戦に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
最後に
カケハシでは、一緒に未来の医療システムを創っていく仲間を募集しています!ご興味のある方は、ぜひ採用ページもご覧ください。