こちらの記事は カケハシ AdventCalendar 2023 の5日目の記事です。
はじめに
こんにちは。カケハシのAI在庫管理チームに所属している梅田です。
私は2年程前に、カケハシのCS(カスタマーサクセス)チームに加わりました。 カスタマーサクセスとは、プロダクトを利用していただいているお客様に伴走し、お客様の業務がより良くなるようにサポートする役割を担う仕事です。
そしてタイトルの通り、今年の10月から新たな役割としてフロントエンジニアとしてのキャリアをスタートさせました。
このブログでは、これまで開発やプログラミングの経験がまったくなかった私が、CSの仕事からエンジニアへと進むことに決めた経緯や、どのように実現していったかを書きたいと思います。
この挑戦は、カケハシのメンバーの多大なサポートと励まし無しには実現できなかったと思っています。私の体験が、新しい挑戦を考えている皆さんにとって一歩を踏み出す勇気の後押しになれば幸いです。
なぜエンジニアになりたいと思ったのか?
カスタマーサクセスの仕事の醍醐味は、お客様の真の課題を見つけ出し、プロダクトを通じて解決できる点にあると思います。たとえばプロダクトの効果的な使い方を習得することで、一日何時間もかかっていた業務が数分で片付き、お客様を忙しい日々から解放できるなど、お客様の助けになれた瞬間にとても大きな喜びややりがいを感じていました。
ただ、お客様と話をしていると「ここをもっと改善したらどうだろうか」とか「こんな機能があったらいいな」といろんなアイデアが浮かんできます。しかし、エンジニアチームはある程度のロードマップに沿って開発を進めているため、いくらアイデアがあってもそれらをすべてフィードバックして、実現することはできません。もどかしさを感じながら仕事をする中で、少しずつ「自分の手で直接サービスを作れたらいいのになぁ」と考えるようになりました。
カケハシで働く以前にも、同じようなSaaSのスタートアップで仕事をしていた経験があり、エンジニアメンバーの働きぶりを間近で見てきました。お客様の課題を聞き、プロダクトをささっと修正し、それを提供するエンジニアの姿は、私の目にとてもかっこよく映りました。お客様も本当に喜んでいる姿を見て、「かっこいい!自分もこうなりたい!」そんなミーハーな想いを拗らせて 憧れを抱いていました。
(後にその「ささっと修正」がいかに難しいことかを身をもって思い知ることになります…)
とはいえ、自分に特別な才能があるとも思っていなかったし、30歳を過ぎてからまったくの未経験で挑戦することにどこか躊躇する思いもありました。(10年程前、学生時代にエンジニアを目指していた友人がいたことを思い出し、「ああ、あの時もっとエンジニアという仕事に興味をもって勉強をしておけばよかったなぁ」なんて本当にどうにもならない思いに心を乱されていたこともありました。)
一歩踏み出すきっかけになった、ある出来事
そんな中、転機が訪れます。
当時、私はCSとして薬局の環境構築をする役割を担っていました。具体的には、お客様から受け取ったデータをクレンジングする業務です。
この作業は薬局がサービスを利用開始するために不可欠で、薬局の在庫数や発注可能な薬品を登録するために行います。受領したcsvデータをAI在庫管理システムに取り込む形に整形し、システム環境を構築するのが私の仕事でした。
このデータクレンジングは、非常に注意深く行う必要がありました。1つミスをすると、医薬品の登録漏れや在庫数のズレを招き、大きな問題につながるからです。
さらにこの作業、非常に困ったことに、システム毎にcsvファイルが毎回姿形を変えて現れるのです。薬局ごとに利用されているシステムが異なり、確認できているだけでも数十種類のシステムが存在しており、それぞれでフォーマットも微妙に異なるため、毎回複雑なパズルを解かなければなりませんでした。1件の薬局データを解析し、加工するのに数時間を要することも少なくなく、常に時間に追われる日が続いていました。この手作業でのデータクレンジングは、非効率で長期的に持続不可能であることは明白でした。
そんな折、CEOの中川さんが颯爽と現れ、時間と精神が削られまくるこの業務に対し、なんとPython を使って自動化するシステムを開発してくれたのです!エンジニアではないのに、独学でPythonを使いこなし、業務改善に繋げていただきました。(中川さんのプログラミング学習の詳細が昨年のアドベントカレンダーにあるので、是非読んでみてください。余談ですが、驚くべきことにこのシステム、週末スキー場で作り上げたそうです・・・)
中川さんの手によって生み出された自動化システムは、これまで数時間要していた作業をものの数分で終わらせることができるようになり、手作業によるミスも大幅に減少しました。
この謎解き業務から解放されて、私は泣いて喜びました。同時に、本職エンジニアではない人が現場の負を解決できるシステムを構築したことに、心が震えました。そして「自分もシステムを作ってみたい!」という心の奥底に眠っていた願望に火がつき始めました。
それから独学でプログラミングを学び始め、目に見えるものが作れることがとてもおもしろいと感じはじめていました。ただ、日々の業務と並行して学んでいくのはなかなか大変で、このまま両立を続けていく自信もなく悩んでおりました。
そこで勇気を出して当時の上司Jさんに思いの内を相談して見ると、
「じゃあ、会社の中でエンジニアをやってみたら?」
と予想外に嬉しいリアクションが返ってきました。
カケハシの開発チームがプロフェッショナルのエンジニアで構成されていることはよく知っていましたので、自分のようなまったくの未経験者が一緒に働くのは流石に無理だろうと思い込んでいたので、正直驚きました。
その後、Jさんは私の挑戦を周囲の関係者に相談し、進め方を調整をしてくれ、私の挑戦を応援してくれました。当時のフロントエンジニアチームのテックリードの方も本当に応援してくれて、どのように進めていけるといいかなど、本当に忙しい中、一緒に考えてくれました。
どのようにエンジニアの業務にシフトしていったのか?
最初は、CS業務に関連するプログラミングから始めました。
たとえば、SQLを使ってデータベースを操作し顧客のシステムの利用状況を取得してみたり、スプレットシート上で管理していた業務をGASを使って自動化するなど、コードを書いて実際に動かす経験を積みました。
そして、運用業務や、小さな画面の修正など、実際の開発現場でのタスクを徐々に任せてもらえるようになりました。MTGにも少しずつ参加させてもらいました。が、当然、飛び交う専門用語がさっぱり理解できず、脳内は常にパンク状態です。
知らないことがあれば調べ上げ、先輩からのアドバイスは逐一メモに残し、繰り返し確認する日々。まるで10年前、はじめてスーツを着て社会に飛び出して行った時のような、大変だけど、とても新鮮でワクワクする毎日を過ごしていました。
はじめての機能実装
そして数ヶ月後、ついにはじめてプロダクトの機能実装を任せてもらえました。ユーザーに対応してもらいたいアクションをトップ画面のお知らせ欄に表示する、という実装です。チームメンバーのサポートの元、少しずつ開発を進めました。
やっとの思いでこの機能をリリースした後、CSチームから「お客様に便利だと感謝されました!」という声が届き、思わず目頭が熱くなりました。これまでCSとしてお客様の課題に向き合っていたということもあり、自分の仕事が直接お客様の役に立っている実感が、これほど嬉しいものだとは思いませんでした。
CSでの経験をどのように生かしたか?
まず、プロダクトについて細かな仕様や、お客様の業務フローを深く理解していたため、開発チームにとって手軽にアクセスできる情報源になれたんじゃないかなと思います。
新機能の開発時やバグ修正の際に、その機能の本来の仕様や、その機能が解決している顧客の課題についての情報を提供し、他メンバーの開発プロセスをより円滑に進めるのに一役買えたと感じています。
また、リリース前のリグレッションテストの作成や動作確認、開発用の薬局環境の構築など、CSで培った知識や経験を活かせる場面は多くありました。こうした業務を通じて、ただサポートしてもらうばかりではなく、自分もチームの役に立てている、という実感を持てた瞬間はとても充実していました。
他にも、CSチームにいた時、開発メンバーとのコミュニケーションの壁を感じていましたが、今では開発チームの一員としてその壁を取り除くべく、相互の業務について理解を深める機会を持つように動いています。
CSが開発業務を理解することは、顧客のフィードバックを開発チームがより理解しやすい形で伝える事に繋がりますし、開発がCSを通して顧客理解を深めることで顧客の本質的なニーズを把握し、よりユーザー中心の製品開発が可能になると思っています。その結果、製品の品質向上、チームの効率性の改善、そして最終的には顧客満足度の向上へと繋がると考えています。
CS からエンジニアになってみての気づき
CSから開発チームに移って気づいたことは、顧客の課題解決に対する強い意志がチーム全体に共通しているということです。
皆、日々プロダクトをどう改善すれば顧客にとってより良くなるかという問いに対する答えを探しています。
より使いやすい製品を作るためには、顧客の課題を正確に捉え、解決策を形にすることが不可欠。そのプロセスを円滑にするためには、CS チームと開発チームがお互いを理解することがとても重要だと思います。
進んできた道を振り返ってみて
初めは基本的なプログラミング操作すら覚束ず、MTGに出ても置物同然。「アド?コミット?ナニソレ?」という状態でした。
それが今ではテストの作成、UIの修正、簡易な機能実装や、プロダクトのリリース作業など、着実にできることが増えているなと感じます。
とはいえ、まだまだ習得すべき技術や知識は山ほどあり、一人前のエンジニアへの道のりは遥か遠く感じます。富士山でいうところの一合目ですが、それでも昨年まではその富士山を遠くから指をくわえて眺めているだけだったので、この挑戦を始めた時には想像もしていなかった世界に今自分がいることに、小さな感動を覚えます。
これからもCSとしての価値を発揮しつつ、一日でも早く一人前のエンジニアになれるように精進します。
このチャレンジを通じて気づいたこと、感じたこと
カタチにする楽しさとやりがい
自分で動くものを作ることはシンプルに楽しい。あれこれ工夫をしながらコードを書いて、画面上で想定通りに動くととても楽しいです。そしてその成果によって、プロダクトを利用してくれるお客様の喜びにつながると、嬉しさはひとしおです。
個人の成長を支え合うカケハシの風土
これまでの挑戦は、CSや開発のマネージャー、開発のメンバー、PdMやCSのメンバーといった本当に多くの人に支えられて実現しました。
わからないことを聞いても嫌な顔1つせず教えてくれ、自分に合わせた難易度のタスクを振ってくれ、悩んだり困ったりしていたときはいつも親身に相談に乗ってくれ、自分がCSから抜ける事になっても文句1つ言わず、いつも温かく応援してくれました。 本当に感謝しかありません。
また、これは自分に限った話ではありませんが、カケハシには「個人の成長を皆でサポートする」という文化があります。上司との1on1では、3年後、5年後にどういう姿になっていたいか?をすり合わせ、そこに向けて必要なステップを一緒に考え、支援してくれる。社員一人一人の成長に本気で向き合ってくれる、本当に素晴らしい文化だと思います。
おわりに
「人生は思い出作り」
この言葉は、CS時代のマネージャーのJさんが私たちチームメンバーによく伝えていた言葉です。私はこれを「困難な道も後から振り返ればいい思い出になる。だから思いっきりやってその過程を楽しもう」と解釈しています。私はこの言葉が大好きで、先がまったく見えない道を前に、一歩前に踏みだす勇気を与えてくれました。
1回きりの人生、これからも後悔のないように、色々な事に挑戦し続けようと思います!
最後に宣伝です!
カケハシは、これから更なる成長のフェーズに突入します。挑戦すべき多くの課題があり、成長できる機会がたくさん転がっています。もし気になった方がいれば、採用サイトをチェックしてみてください!また他のカケハシメンバーもアドベントカレンダーで記事を書いておりますので、是非そちらもあわせてご覧ください!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!