KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

Pocket Musubi開発チームのRetrospective

こんにちは、カケハシの三浦です。 今回はカケハシの Pocket Musubi チームのスクラムについて、中でも Retrospective について書いていきます。この記事の内容は1つのチームの例ですが、同様の問題や"気になり"を抱えるチームにとって何かの気づきとなれば嬉しいです。

Pocket Musubi チームの Sprint Retrospective

今回は Pocket Musubi チームが Retrospective において大切にしている点を紹介します。 主な特長は以下 3 点です。

  • 2 週間の開発サイクルと 1 週間の改善サイクル
  • 振り返りの場では、業務以外の話題もOK
  • 振り返りのテーマは、あえて絞らない

Pocket Musubi チームでは、2週間スプリントを基本としてプロダクト開発を行っております。 また、このチームは最近 1 ~ 2 年の間に新しいメンバーを増やしてきており、社歴、プロダクトに関する業務知識、経験してきた文化なども様々なメンバーで構成されているチームであるという特徴を持っています。このチームの特徴を踏まえて、チームの課題や大切にしたい価値観の捉え方を併せてみていただけたら幸いです。

2 週間の開発サイクルと1週間の改善サイクル

最初はスプリントに合わせて 2 週間ごとに振り返りを実施していました。 その後、しばらく繰り返す中で「"思い出しの負荷"が地味にかかる」という気になりがチーム内に生まれてきました。先週のことをうまく思い出せないといった経験をしたことは、多くの方があるのではないかと思います。 こうなると、どうしても記憶に新しいスプリント後半の出来事に話題が偏りやすくなるように思います。 そこで、まずは「事前に振り返りボードを用意しておいて、日々書き溜めておく」という改善策にTryしてみました。 しかしながら、毎日振り返りボードを開く&書く習慣にはならなかったり、時には書いたメモも「これなんだっけ?」となったりして、あまり改善効果は得られなかったように見えました。 そして、次の打ち手として 2 週間スプリントの中で毎週 45 分の振り返りを計 2 回実施することとしました。

「今週の振り返りは、今週のうちに!」

結果として、開発は 2 週間、改善活動は 1 週間のサイクルで繰り返し行われる構造となりました。 振り返り範囲がコンパクトになることで思い出しで悩んだり時間を食ったりすることは少なくなり、以前よりもスムーズに会話が進むようになったように見えています。

振り返りの場では、業務以外の話題もOK

Pocket Musubi チームでは、リラックスした状態で良いアイデアを出せる状態にしたいと考えており、業務以外の話題も思いついたら遠慮なく発言OKとしています。 振り返り手法として最近は KPT を使う回が多いのですが、ウォーミングアップ的に Thanks を独自に追加して、最初は Thanks から話し始めるといったアレンジも加えており、例えば休暇取得への感謝などから休暇中の話題に繋がったりすることもあります。

あまりワイガヤ的な雑談ばかりに時間を使い過ぎてしまうのは問題になるのですが、適度に笑ったりツッコんだりと感情にも寄り添うことで、できる限りリラックスしてチームの問題にも向き合って改善アイデアを考えることができる良い効果が一定あるのではないかと思っています。 期待する効果や根拠としてはゆるめな部分ではありますが、今後もチームがリラックスして振り返りに参加できることは大切にしたいと考えています。

振り返りのテーマは、あえて絞らない

振り返りでは、時にたくさんテーマが出て全て消化しきないということもあるかと思います。 そんな時は「重要なテーマにフォーカスして話す」という手法もあり、振り返りの効果の最大化する上では基本的なアプローチなのではないかと思います。しかしながら、僕らのチームはあえてその逆となる「あがったテーマ全てに触れる」という価値観を大切にしています。

なぜか? 主な理由は、自己肯定感への配慮と振り返りの場への継続参加・積極参加の促進です。 チームにおいて自分の課題感を伝えていくことは勇気のいることです。しかし、自分の意見が何度も繰り返しチームの振り返りで触れられないと単純に残念ですよね。これが繰り返し起こると「自分は声をあげても意味がない」と考えに陥ってしまい、自己肯定感の低下から意見を出しにくくなる現象を引き起こすリスクがあると考えています。これに対して様々な予防策や対策は考えられるかもしれませんが、僕らのチームは継続的な振り返りへの参加と遠慮のない発言・姿勢を促したいと考えて、あえて全てのテーマに触れることをより大切にして日々の振り返りを行うこととしています。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。 改めて、今回紹介した Pocket Musubi チームの Retrospective における主な特長は以下3点です。

  • 2 週間の開発サイクルと 1 週間の改善サイクル
  • 振り返りの場では、業務以外の話題も OK
  • 振り返りのテーマは、あえて絞らない

効果的な振り返りにはいくつかのポイントがあると思います。その1つが情報であり、様々なツールから収集できる客観的なデータだけでなく、各自が実際に活動する中で感じた課題感や仮説などの情報も鮮明なうちに頻度よく振り返ることが好ましいと考えます。また、チームの改善施策への理解・納得・協力もとても大切です。そのため、本音で議論し合える関係性と振り返りの場への積極的な参加姿勢を維持することを今後も意識していきたいと思っています。 改めて Pocket Musubi チームは、新しいメンバーを段階的に追加しながら成長していっているチームです。そのため、新しいメンバーが少しでも早く"ありのまま"で振る舞えるように、今回紹介した Retrospective 以外の場でもちょっとした雑談や関係づくりを大切にしたいと考えています。もちろん、その結果としてチームのパフォーマンスの最大化につながっていくと考えています。

今回紹介した内容は、 Pocket Musubi チームの経験や特徴から考えて実践している 1 つのパターンです。どのチームにも同様のアレンジがフィットするとは限らないかと思いますが、スクラムや効果的な振り返りの実践方法を模索しているスクラムマスターやスクラムチームにとって、何かの気づきとなりましたら幸いです。