KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

帽子を交換するふりかえり

こんにちは。ソフトウェアエンジニアの椎葉(@bufferings)です。最近実施したオリジナルのふりかえりがよかったので紹介します。

いつもはエンジニアリングマネージャの小田中さん(@dora_e_m)が、そのときのチームの状況に合わせたふりかえりの手法を用意してくれていて、毎週違うふりかえりをみんなで楽しんでいるのですが、今回は小田中さんが不在だったので私がファシリテーションをしてみることにしました。

どんなふりかえりをしようかなと ふりかえりカタログ を眺めていたところ Six Thinking Hats が目に止まり「これをアレンジして『帽子の交換』をすると、今のチームにちょうどいいかもしれないな」と感じて、今回のふりかえり手法を思いつきました。

カケハシはリモートファーストの会社で、私の所属するチームもフルリモートで開発に取り組んでいます。そのため、今回のふりかえりもオンラインホワイトボードの FigJam を使って実施しました。私たちはオンラインで実施しましたが、この手法自体はオンライン・オフラインに関係なく実施できます。

ふりかえりのFigJamボード

(雰囲気をお伝えできればと思ってボードのキャプチャを貼ってみました。でも、付箋の内容は消してあります。すみません!)

「帽子の交換」ってどんなふりかえり?

「帽子の交換」は次のように進めました。

  1. エンジニアはプロダクトマネージャの帽子をかぶって、プロダクトマネージャはエンジニアの帽子をかぶって、それぞれ付箋に考えを書き出す(5分)
  2. 付箋に書いた内容を共有する(20分)
  3. 共有してくれた考えに対してお互いにアンサーを伝える(15分)
  4. そのアンサーに対して返事を伝える(10分)

そこまで考えていたわけではないのですが、たまたま参加者がエンジニア3人とプロダクトマネージャ3人で同じ人数だったため、帽子の交換がやりやすい状況でした。

ちなみに「帽子をかぶる」というのは「自分がそのロール(立場)だったらどう考えるか」というロールプレイングのことを指す比喩表現です。実際に帽子をかぶって交換しているわけではありません🙂

帽子の交換

どうして「帽子の交換」をやろうと思ったのか?

私は自分の所属するチームのことを、とてもいいチームだなと毎日感じています(これについて書き始めると、それだけで1本の記事になってしまうので今回は書きませんが、とてもいいチームです)。

このチームは、仮説を検証するための新規プロダクトの開発と運用を担当しています。そのため、日々変化する状況の中でのすばやい決断と開発が求められます。そういったプロダクトの性質上、急な差し込み対応や方針転換が必要となる場面も多くなっていました。

そんな中で私が少し気になっていたのは「プロダクトマネージャが気にしていないかな?」ということです。急な変更などが続いていたので、エンジニアに対して申しわけなさを感じていたり、それに伴う不安を感じていたりしないかなということが気になっていたのです。

とくに、そのときのスプリントでは途中で大きな気づきがあり、スプリントの途中でゴールを変更していました。また、最近チーム自体も大きく方針転換をして、新たに難しい課題にも取り組む決断をしました。

このような状況だったので「他のエンジニアはどう感じているんだろう?」「実際のところプロダクトマネージャはどう思っているんだろう?」といった話をするのに「帽子の交換」をやってみようと思いました。

「帽子の交換」を実施

実際は手順のパートで書いたとおり交互に意見を共有しながら進めたのですが、ここでは読みやすさのためにエンジニアパートとプロダクトマネージャパートをそれぞれまとめて記載します。

エンジニアがプロダクトマネージャの帽子をかぶってみて

エンジニアは「自分がプロダクトマネージャだったら、どんなことを心配していて、今後どうしていきたいだろう?」と考えて付箋に書き出しました。一例をピックアップします。

自分がプロダクトマネージャだったら:

  • 新たに取り組む課題は、どう進めたらいいか技術的なところがわからん。エンジニアから提案してほしい!(と思ってそう)
  • 今取り組んでいる課題と新しく取り組む課題のバランスをどうしよう(と思ってそう)
  • 方針転換でストレス感じていませんか?(と思ってそう)

それに対して、プロダクトマネージャがアンサーを伝えました。

  • エンジニアからの技術的な提案は嬉しい。一緒に考えていきたいと思っている
  • たしかにバランスは悩んでいる
  • エンジニアがストレスを感じていないかは気になる

最後に、それに対するエンジニアの返事です。

  • 難しい課題への挑戦は、めちゃポジティブにとらえている。難しいというのは、それだけ価値が生まれるということ
  • どう変化するのもOK。状況が変わったらすぐに教えてくれて嬉しい
  • ストレスはない。大きなゴールは変わっていない。楽しみでしかない!

プロダクトマネージャがエンジニアの帽子をかぶってみて

プロダクトマネージャは「自分がエンジニアだったら、どんなことを心配していて、今後どうしていきたいだろう?」と考えて付箋に書き出しました。

自分がエンジニアだったら:

  • 新たに取り組む課題は、技術的な難易度が高そう(と思ってそう)
  • 他のチームとの連携もこれまで以上に重要になりそう(と思ってそう)
  • 今取り組んでいる課題と新しく取り組む課題のバランスをどうしよう(と思ってそう)

3つ目のものはエンジニアも同じものを挙げていましたね。それに対するエンジニアのアンサーです。

  • 難しい課題に取り組むことが自分たちの仕事なので心配はいらない
  • このチームではそこにさらに付加価値を上乗せしていきたい
  • 難しいことをやっているのに、外から見たら簡単に見えるチームでありたいな

最後に、それに対するプロダクトマネージャの返事です。

  • みんなが同じような難しさを感じていると分かってよかった
  • 変化や新しい課題に対しても前向きに取り組めるいいチームだなと思った
  • プロダクトマネージャもエンジニアも、みんな同じゴールを見ているんだなって再確認できてよかった

「帽子の交換」をやってみてどうだったか?

よかったです!終わった後にみんなも「よかったよ!」と言ってくれました。

「実は変化に対してネガティブだったりしないか?」という心配に対して「全然ネガティブじゃない!ワクワクする!」ということを全員で共有できたのもよかったし、「ただ、そうは言っても少し不安はあるよね」「そうだね」と不安を共有できたのもよかったです。

そして、お互いの立場に対する心遣いや、それに対する「大丈夫だよ」という返事、それからお互いに対する感謝を共有できたのもよかったです。

このふりかえりによって「変化や新しい課題に対してこのチームでやっていくぞ!」という気持ちがよりいっそう強くなり、チームのモチベーションがあがったのを感じました。

おまけ:小田中さんだったら?

最後に「自分がエンジニアリングマネージャの小田中さんだったらどう思ってそう?」をみんなで出してみました。

  • みんな変化に前向きだと思うけど、気になってることなどもあると思うから1on1で聞いてみよう(と思ってそう)
  • 難しい課題にこのチームで立ち向かうのはワクワクするぞ!(と思ってそう)
  • みんなが動きやすいようにサポートしまくるぞ!(と思ってそう)
  • このチーム最高だな(と思ってそう)

みんなの頭の中の小田中さんは、やっぱりとてもポジティブでした。本人がいないのに小田中さんの話をしているだけで元気をもらえるのは、本当にすごいなと思いました。

おしまい

ということで、今日は「帽子の交換」というオリジナルのふりかえりを紹介しました。違うロールのメンバーどうしで気になっていることがありそうだったり、大丈夫だよって伝えたかったりするときに、ちょうどいいふりかえり手法だなと思いました。

参考