KAKEHASHI Tech Blog

カケハシのEngineer Teamによるブログです。

フルリモートでのオンボーディングを成功させる「仕組み」と「対話」

はじめに

こんにちは。Musubi機能開発チームでエンジニアをしている竹本です。

私はカケハシに入社して4ヶ月目ですが、すでにMusubiの依存ライブラリをいくつかアップデートしたり、 チーム横串の開発プロセス改善活動のリードとして活動させてもらえたりと、手前味噌ではありますがかなり良いペースでチームに溶け込めていけたのではないかと思っています。

カケハシは基本フルリモートの会社で、医療業界のことは何も分からんという状態で入社したので、オンボーディングには少なからず苦戦するだろうと予想していたのですが、 カケハシとMusubi機能開発チームのオンボーディングのおかげで、スムーズに初期のキャッチアップを行えましたし、またオンボーディングされる側として非常に学びがありました。

この記事では自分が体験したMusubi機能開発チームのオンボーディングとそこから得たセルフオンボーディングの知見を共有したいと思います。

特にフルリモートの会社に勤めていて今後オンボーディング体験を改善していきたいと考えている方や、これからフルリモートの会社に転職するけど馴染めるか不安という方に少しでも参考になれれば幸いです。

初日

入社初日は自宅で迎えることになりました。 初日はチームランチでチームのメンバーを顔合わせをして、お互いに自己紹介をしました。 かなり雑談多めで色々話した記憶があります。やはりカメラオンで顔を見ながら取れるコミュニケーションは安心感があると感じました。

また、入社初日に自分とEMとメンターの3人で自分の「全体マップ」を作成しました。 「全体マップ」はMusubi機能開発チームが運用しているプロジェクト管理をするFigjamのテンプレートで、 エンジニア, デザイナー, PdMが同じ目線でプロジェクトを見れるようにしたものです。

この全体マップで自分の中長期的な目標・やりたいこと・ロードマップをマネージャー・メンターと一緒に作っていけたことは自分の中で非常に良い体験でした。 やりたいことの言語化, 課題の整理, (全体マップ本来の使い方である)案件の進め方のキャッチアップ, 自分の考えを共有することを同時に行えたような感覚がありました。

最初の1週間

入社してからの1週間は案件には入らず、ひたすらキャッチアップをしていました。

この時に非常に助かったのが社内向けe-learningサイトです。このサイトはカケハシが運営している社内向けのWebサイトで、 ちょっとした隙間時間で業務に役立つナレッジを動画や文章で習得できるサイトになっています。

ここには薬局業界がどのような課題を抱えていているのか、それをカケハシがどのように解決しようとしているのか、さらにカケハシがもつプロダクトのチュートリアルまで幅広いコンテンツがありました。

Web業界で何回か転職してきた身としては「自分が開発しているプロダクトがどのような人たちのどのような課題を解決していて、今後どうなっていきたいか」の解像度をオンボーディング期間中に ある程度上げたいという思いがあり、それが実現できる手段を会社側が用意してくれているというのとてもありがたかったです。

もう一つ記憶に残っていることがあって、入社して最初の金曜日にカケハシオフィスでオフラインイベントをやりました。 この日のことはEMの久保田さんが記事を書いているので、よければこちらをご覧ください。

この日は丸一日かけてチーム全員でボードゲームをやって、ORSC(Organization & Relationship Systems Coaching)のワークを受けました。

ボードゲームは初めて会う人同士でも自然と会話が生まれるものがチョイスされていて、「佐藤です。好きなおにぎりの具は梅です。」ではユーモアを交えた自己紹介ができましたし、 「コードネーム」ではファインプレーが連発して大盛り上がりでした。

ORSCセッションではチームの関係性や向かいたい方向を言語化するワークを行い、改めてチームの色みたいなものを理解できたような気がしました。

最初の一ヶ月

入社して1ヶ月の間はカケハシの開発風景をよく観察することに意識的に取り組んでいました。

slackやesa, 主要リポジトリのコードをよく読んで、カケハシの今を知ること、どういう人がどういう役割で動いているのかを見るようにしていました。

ありがたいことに自分のメンターになってくれた方が毎日1on1をしてくれたので、日々出てきた疑問や感じたモヤモヤをその日のうちに消化することができました。

そこから自分がバリューを発揮できそうなところや、やってみたいことを全体マップのほうに書き起こすということをしていました。

全体マップは自分の考えを整理する時にも、1on1で考えたことを共有する時にも重宝したので、こういうものを作っておくとオンボーディングがスムーズにいくんだなととても感心しました。

もう一つやったことはMusubi機能開発チームの方を中心に、よく関わりそうな人全員と1on1をしました。 この1on1は「どういう関わり方をすればお互い気持ちよく働けるかをお互い知ること」を目的にしたかったので、以下のようなアジェンダで話してみることにしました。

  • カケハシで何をやっている人?
  • 特に関心が強い領域は?
  • 得意なこと・苦手なこと
  • どのような仕事ができるとハッピー?
  • 直近で嬉しいと感じたこと・悲しいと感じたこと
  • 一緒に仕事をしていく上で知っておいてほしいこと
  • プライベートでハマっているもの・これを考えている時間が長いなと思うこと(興味の対象)

この試みはそこそこ上手くいきました。 1on1は30分の時間で設定していましたが、毎回かなり盛り上がって、話し足りずに終わることがほとんどでした。 ここで知れたことを後で会話のきっかけにできたり、より良いコミュニケーションを取るためのヒントを得られたりできたと実感しています。

人と一緒に働く上で、その人がどのようなことを考えているか、どのようなことを大切にしているかを知っているかどうかで コミュニケーションの円滑さは変わってくると思っています。

リモートワークだと(特に隣のチームや普段関わらない人は)このことを知る機会が比較的少ないと思うので、入社直後のタイミングはまさに絶好のタイミングです。 お互いの価値観を知る時間を作るということはぜひオススメしたいです。

最初の三ヶ月

最初の3ヶ月は社内のLT会や勉強会に積極的に参加するようにしていました。

カケハシは交流が非常に活発で、勉強会やLT会が頻繁に開催されています。

自分はフロントエンドの領域に関心が強かったので、slackでフロントエンド研究会というチャンネルにお邪魔させていただいて、 定期的にフロントエンドのあれこれを議論していたりしたのですが、ここでも縁があって30分枠で発表する機会を早々にいただけました。

自分は元々Reactエンジニアだったのですが、カケハシにはいってAngularを書くようになったので「Reactエンジニア向けのAngular入門」というタイトルで 発表させていただきました。ここで発表できたことで少し遠いチームにいるエンジニアの方と知り合えたり、技術の話ができる関係になれたので 社内登壇はかなりコスパが良いと感じました。

また、技術カンファレンスに参加する機会にも恵まれて、自分はカケハシの入社してからすでに3回カンファレンスに参加していて、今年はあと2回は行くことが確定しています。 毎回、カケハシの誰かと一緒に参加しているのですが、技術の話をしたりチーム事情だったりをわいわい話しながら参加できるのでとても楽しいです。

これはカケハシが技術カンファレンスに積極的にスポンサードしていることと、社内に「カンファレンス参加支援制度」という制度があって、 カンファレンスに参加しやすい環境が整っていることが大きいと感じています。

「技術カンファレンスに会社の同僚と一緒に行く」以上に1日でギュッと関係性を作れる機会はそうそうないと思うので、こちらもぜひオススメしたいです。 会社がカンファレンス参加を支援してくれるなら尚更です。

業務の方では全体マップを通じて、自分のやりたいことをマネージャーやメンターと方向性のすり合わせが固まってきた時期になっていたと思います。

コードも合間合間で読んでいたので、小さな改修PRをちょこちょこ作ったり、少し時間をかけてMusubiのメインで使われているライブラリをアップデートしたりということもできました。

入社3ヶ月で大きめのアップデートを入れられたことは本当にメンターの方のサポートなしにはやれなかったと思いますし、 自分が「これ自分やりたいです」と言ったことに「いいですね!やりましょう!」となるチームの雰囲気があって実現したものと思っています。

まとめ

自分は何回か転職を経験した後にカケハシに入社しましたが、オンボーディングは今回が一番上手くいったと感じています。

今回得た学びとしてはオンボーディングで鍵になってくるのは相手を知ろうとする努力と対話をする姿勢だと感じました。

特にフルリモート環境では誰かと話す機会が自然には発生しにくいので、オンボーディングをする側もされる側も意識的に話す機会を作れると、 その後の生産性に大きな影響があると自分は考えています。

人柄や課題感、自分の考えていることをアウトプットしやすくし、誰かに共有しやすい仕組みを作っておくとオンボーディングのみならず、 普段の円滑な業務にもつながるかもしれませんね。